「もうすぐ発表会なのに、どの曲を選べばいいのか全然わからない…」
バイオリンを始めて数ヶ月、または1年ほど経った頃に訪れる大きな壁のひとつが「発表会の選曲」です。
特に大人から始めた方にとって、「自分のレベルに合った曲」「でも恥ずかしくない曲」という二つの条件を同時に満たす選曲は、想像以上に難しいものです。
「せっかく発表会に出るなら、聴いている人にも楽しんでもらいたい」と思う気持ちは当然です。でも、レベルに合わない難しい曲を選んで本番で失敗するのは、自信をなくす原因にもなります。
発表会の選曲は「自分らしさを輝かせる場」を作る、大切な準備です。
この記事では、バイオリン講師として、子供からシニアまでたくさんの発表会に立ち会ってきた私が、大人初心者のための選曲のコツをお伝えします。
目次
発表会の選曲で悩む本当の理由

多くの大人初心者の方が発表会の選曲で悩むのには、深い理由があります。それは単に「曲を知らない」からではありません。
子供の頃から音楽を習ってきた人は、発表会に出るたびに少しずつ曲のレパートリーが積み上がっていきます。
しかし、大人になってからバイオリンを始めた場合、バイオリンの技術と音楽知識の積み上げが同時進行になるため、「自分のレベルで弾ける曲の選択肢」が非常に限られているように感じてしまうのです。
私自身も、幼少期から音楽に触れてきた立場として、大人になってから楽器を始めた生徒さんたちの「どんな曲を弾けばいいの?」という戸惑いをたくさん見てきました。
選曲で悩むのは、あなたの音楽センスが低いのではなく、経験値の違いからくる情報不足なのです。
選曲で失敗する3つの原因

原因1:難しすぎる曲を選んでしまう
「発表会だから、少し背伸びした曲を弾きたい」という気持ちはよくわかります。でも、実力よりも大幅に難しい曲を選ぶと、練習期間中ずっとストレスを感じ続け、本番でも実力が発揮できません。
目安として、「3ヶ月の練習で8割の完成度に持っていける曲」が発表会の適正レベルです。
10割完璧に仕上げようとすると、どんな曲でも発表会には間に合わないことが多いです。8割仕上げて、残りは本番の緊張感でカバーする、というイメージを持ってください。
発表会は「完璧な演奏」を目指す場ではなく、「今の自分の音楽」を伝える場です。
原因2:簡単すぎる曲を避けようとしすぎる
逆に、「こんなに簡単な曲では恥ずかしい」と思って、無理に難しい曲を選ぶ方もいます。
しかし、聴いている人の多くは「この曲が簡単かどうか」よりも「演奏者が楽しそうに弾いているか」「音楽が伝わってくるか」を感じています。
私がレッスンで経験したことがあります。ある50代の生徒さんが「こんな曲じゃ恥ずかしい」と言いながらも、「きらきら星変奏曲」を温かく・表情豊かに演奏したとき、聴衆からの拍手は誰よりも大きかったのです。
演奏の「難易度」よりも、演奏者の「表現力」が聴く人の心を動かします。
原因3:先生や家族の意見だけで決めてしまう
発表会の曲は、最終的には「自分が弾きたいと思える曲」でなければなりません。先生が「この曲が合っている」と言っても、自分がその曲に全く興味を持てなければ、練習のモチベーションが続きません。
もちろん先生のアドバイスは非常に重要です。でも、最後の決断は「この曲を3ヶ月弾き続けられるか」という自分の感覚で判断してください。
弾きたいという気持ちが、練習を支える最大のエネルギーになります。
大人初心者のための選曲の4つのポイント

ポイント1:自分のバイオリン歴と照らし合わせる
一般的な目安として、以下のような曲が各時期の大人初心者に適しています。
- 始めて6ヶ月〜1年:きらきら星変奏曲、ロングロングアゴー、ト調のメヌエット(バッハ)
- 1年〜2年:バッハのメヌエット第2番、もののけ姫、ヘンデルのソナタ
- 2年〜3年:ザイツのコンチェルト第5番、鈴木バイオリン教本3〜4巻収録曲
ただし、これはあくまで目安です。上達のスピードには個人差があります。大切なのは、「自分が今どこにいるか」を正確に把握することです。
ポイント2:曲の「聴き映え」を意識する
技術的には簡単でも、「聴いている人が知っている曲」や「旋律が美しい曲」は聴き映えがします。たとえば、日本の童謡やポップスのアレンジ版は、音楽的なレベルに関わらず、会場全体が温かい空気に包まれることが多いです。
私の生徒さんの中には、「ふるさと」や「赤とんぼ」をバイオリンで演奏して、お父さんやお母さん世代の観客が嬉しそうに聞いている場面を何度も見てきました。
「知っている曲」は聴衆との距離を縮める最強の武器です。
ポイント3:先生と相談して2〜3曲に絞る
候補曲を自分で2〜3曲リストアップしてから先生に相談する方法がおすすめです。「この中でどれが今の私のレベルに合っていますか?」という形で聞くと、先生も具体的なアドバイスをしやすくなります。
先生に丸投げするのではなく、自分が「これを弾きたい」という気持ちを持った上で相談することで、選曲がスムーズに進みます。
ポイント4:本番までの練習期間を逆算する
発表会まで3ヶ月あるなら、今のレベルで「1ヶ月でだいたい通して弾ける曲」を選ぶのが理想です。残りの2ヶ月で仕上げ・暗譜・表現に集中できます。
発表会の2週間前になっても曲が完成していない場合、精神的なプレッシャーが大きくなり、逆に演奏の質が下がってしまいます。余裕を持ったスケジュールで曲を仕上げることが、本番での自信につながります。
大人初心者におすすめのバイオリン発表会曲リスト

【初級:始めて1年未満】
- きらきら星変奏曲(モーツァルト)
- ト調のメヌエット(バッハ)
- ロングロングアゴー
【初中級:1〜2年】
- メヌエット第3番(バッハ)
- ガヴォット(ゴセック)
- ザイツ:学生コンチェルト第5番
- もののけ姫(久石譲)
【中級:2〜3年】
- ユモレスク(ドヴォルザーク)
- 愛の喜び(クライスラー)
- アヴェ・マリア(シューベルト)
- カノン(パッヘルベル)
これらの曲は、バイオリン教育の場で長年使われてきた実績があります。聴衆にも馴染みがある曲が多く、発表会で弾く際に「聴き映え」がしやすい曲ばかりです。
おすすめのバイオリン教本についての記事も参考にされてください。
今日からできる発表会準備の具体的アクション

アクション1:今すぐ候補曲を3曲聴いてみる
YouTubeで候補曲を検索し、プロのバイオリニストの演奏を聴いてみてください。「この曲を弾きたい!」という気持ちが湧いてくる曲が、あなたにとっての最適な候補です。気持ちが動く曲は練習のモチベーションも維持しやすいです。
アクション2:次のレッスンで先生に相談する
候補曲を2〜3曲リストアップして、「発表会の選曲について相談したいのですが」と先生に伝えてください。先生はあなたの技術レベルを一番よくわかっているので、具体的な候補を持ってくれば適切なアドバイスをもらえます。
アクション3:毎日少しずつ候補曲を弾いてみる
曲を決めたら、すぐに全曲を完璧に弾こうとするのではなく、最初の4小節だけを毎日丁寧に練習する習慣をつけてください。小さな成功体験の積み重ねが、本番に向けた自信につながります。
「今日は4小節だけ」という小さな一歩が、3ヶ月後の舞台を作り上げます。
アクション4:録音して自分の演奏を客観的に聴く
練習中の演奏をスマートフォンで録音して、自分で聴いてみてください。自分で「ここが気になる」と思う部分が、先生からも指摘されるポイントであることが多いです。録音による客観的な自己評価は、上達スピードを大幅に上げます。
まとめ:発表会は「今の自分」を輝かせる場

バイオリンの発表会は、どれだけ難しい曲を弾けるかを競う場ではありません。「今の自分が精いっぱい表現できる音楽」を届ける場です。
選曲の基本は、「自分が弾いていて楽しい曲」「3ヶ月で8割仕上げられる難易度の曲」「聴衆が楽しめる旋律の曲」の3つが揃った曲を選ぶことです。
私自身も、長年バイオリンを続けてきた中で、「発表会を楽しめるかどうかは選曲で8割決まる」と感じています。ぜひ、先生と相談しながら、あなたらしい一曲を見つけてください。
本番の舞台に立ったとき、「この曲にしてよかった」と思える選曲が、最高の選曲です。
あなたの発表会が、素晴らしいものになりますように。
バイオリンを始めるなら…
バイオリンを始めたいと思ってもどこで楽器を買うべきか先生に習うべきか独学で学ぶかなど考えることはたくさんです。
ぜひあなたに合った学び方で楽しくバイオリンを奏でて下さい。
こちらの記事も参考になりますように。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
