バイオリンを手にとって、さあ弾こう!と思ったとき、最初の壁となるのが「チューニング」です。
「チューナーを使っているのに音が合わない」「合わせたはずなのにすぐにズレる」「そもそもどこから始めればいいかわからない」——そんな悩みを抱えている方、とても多いんです。
チューニングができないと、どれだけ正しい運指で弾いても音楽にならない。だからこそ、最初に正確に身につけておきたいスキルなのです。
私はバイオリン講師として子どもからシニアまで幅広い生徒さんを教えてきました。大人になってから始める方の多くが、チューニングのやり方を間違えたまま続けてしまい、上達の妨げになっているのを目にしてきました。
この記事では、バイオリン初心者の方が正しくチューニングできるよう、基礎からわかりやすく解説します。
目次
バイオリンのチューニングとは?まず仕組みを知ろう

バイオリンには4本の弦があります。それぞれの弦の音の高さを「正しい音程」に合わせる作業が「チューニング(調弦)」です。
バイオリンの4弦は、低い弦から順に次のように調弦します:
- G線(ソ線):一番低い弦
- D線(レ線):2番目に低い弦
- A線(ラ線):2番目に高い弦
- E線(ミ線):一番高い弦
これを「G・D・A・E」と覚えておきましょう。チューニングは通常、A線(ラ=440Hz)を基準に合わせ、そこから他の弦を調整します。
「G・D・A・E」この順番が頭に入れば、チューニングの半分はマスターしたも同然です。
チューニングに必要な道具

① クリップ式チューナー(初心者に最もおすすめ)
バイオリンのペグ(糸巻き)部分にクリップで挟んで使うチューナーです。弦の振動を直接感知するため、周囲の音に影響されにくく、初心者にとって最も使いやすいツールです。
もちろん、いわゆる一般的なチューナーでも調弦をする上で何も問題ありません。
② チューニングアプリ(スマートフォン)
「GuitarTuna」「insTuner」など、スマートフォンのマイクを使った無料チューニングアプリも便利です。ただし、周囲の雑音が多い環境では誤作動することがあるため、静かな場所でのみ使用することをおすすめします。
③ 音叉(おんさ)
アナログな方法ですが、A=440Hzの音叉を叩いてA線を合わせる方法もあります。耳を鍛えるうえで非常に良い練習になりますが、初心者にはやや難易度が高いため、ある程度上達してから挑戦するのがよいでしょう。
チューニングの正しいやり方:ステップバイステップ

STEP 1:ペグ(糸巻き)とアジャスター(微調整ネジ)を確認する
バイオリンのチューニングには、大きく2種類の調整箇所があります:
- ペグ(糸巻き):楽器の頭部分にある木製の棒。大きく音程を変えるときに使います。
- アジャスター(ファインチューナー):テールピース(弦を留める部分)についている金属製の小さなネジ。微調整に使います。
初心者はまずアジャスターだけを使ってチューニングするのが安全で確実です。
ペグは操作を誤ると弦が切れたり、楽器が破損する恐れがあります。
慣れるまではアジャスターの範囲内で調整し、大きくズレている場合は楽器店や先生にお願いするのが賢明です。
STEP 2:A線(ラ)から合わせる
クリップチューナーをスクロール(楽器の一番上の丸い部分)に挟み、電源を入れます。
まず「A線(ラ線)」を弓で静かに弾き、チューナーの表示を見ます。針が左に傾いていれば音が低い(アジャスターを時計回りに締める)、右に傾いていれば音が高い(反時計回りに緩める)です。
チューナーの針が中央(緑のランプが点灯することが多い)になるよう、ゆっくりと調整してください。
STEP 3:D線・G線・E線を順に合わせる
A線が合ったら、次にD線、G線、E線の順に同様の手順で合わせていきます。
注意点として、1本の弦を調整すると他の弦の張力が変わり、全体の音程が少しズレることがあります。全弦を合わせたあと、もう一度A線から確認し直すのが理想です。
STEP 4:弾きながら最終確認
チューナーの表示が合っていても、実際に弾いてみると「何かズレた感じがする」と感じることがあります。これは正常です。
慣れてきたら、自分の耳でも確認する練習をしましょう。
チューニングが合わない3つの原因

原因① 弦が新しすぎる
張りたての新しい弦は、弾くたびに伸びて音程が下がります。新しい弦を張ったばかりのときは、弾くたびにチューニングが狂うのは当然のことです。
目安として、新しい弦は1〜2週間弾き続けることで安定してきます。
私が生徒さんによく言うのは「新しい弦は毎日弾いて伸ばしてあげてください」ということ。毎回チューニングを直すのは面倒に感じるかもしれませんが、これは必要なプロセスです。
原因② 温度・湿度の変化
バイオリンは木で作られているため、気温や湿度の変化に非常に敏感です。練習部屋が暖かくなったり冷えたりするだけで、弦の張りが変わりチューニングがズレます。
特に季節の変わり目や、エアコンをよく使う夏・冬は注意が必要です。練習前は必ずチューニングを確認する習慣をつけましょう。
原因③ ペグの滑り・固着
木製のペグは、湿気で膨張して固くなったり、乾燥で滑りやすくなったりします。ペグが滑りやすい場合は「ペグコンポジション(ペグドープ)」という専用の滑り止め剤を使うと改善します。
逆にペグが固すぎて動かせない場合は、無理に回そうとすると楽器を傷める恐れがあるため、楽器店に相談することをおすすめします。
チューニングを早く上達させるコツ

毎回の練習前に必ずチューニングする
「今日は少ししか弾かないから」「昨日合わせたから大丈夫」——そう思いがちですが、バイオリンは必ず練習の前後でチューニングが変わります。
チューニングは「準備体操」と同じ。毎回必ず行う習慣こそが、上達への近道です。
チューニングしながら音を聴く
チューナーの数字や針だけを見てチューニングするのではなく、耳でも音を確認しましょう。「この音がラ(A)の音だ」と体で覚えることが、将来的な音感トレーニングにもつながります。
A線を基準にした「5度調弦」に挑戦する
ある程度チューナーで合わせることに慣れてきたら、「5度調弦」に挑戦しましょう。これは、隣り合う2本の弦を同時に弾いて、その5度の響きで合わせていく方法です。
バイオリンの本格的な音感を養うために欠かせない技術で、私自身も幼少期からこの方法で耳を鍛えてきました。最初は難しく感じますが、続けることで確実に耳が育ちます。
耳が育てばなんとなくわかってきます
今日からできる3つの具体的アクション
- クリップ式チューナーを購入する:まだ持っていない方は、1,000〜2,000円程度のものを1つ用意しましょう。
- 弦の名前を覚える:「G・D・A・E」を声に出して3回繰り返してみてください。これだけでぐっと身近になります。
- 明日の練習前に、この記事を見ながら1回チューニングを試みる:完璧でなくて構いません。まず手を動かすことが大切です。
一度正しいやり方を身につければ、チューニングは5分もあれば終わる作業になります。焦らず、丁寧に練習しましょう。
まとめ

バイオリンのチューニングは、初心者にとって最初の難関に感じるかもしれませんが、正しいやり方を知れば決して難しくありません。
今日ご紹介したポイントをおさらいします:
- 4弦の音は「G・D・A・E」
- 初心者はクリップチューナーとアジャスターを使う
- A線から順番に合わせる
- 新しい弦・温度変化・ペグの状態に注意する
- 毎回の練習前に必ずチューニングする習慣をつける
チューニングができると、弾くたびに「ちゃんとした音がする」という喜びを感じられるようになります。その喜びがモチベーションになり、練習が楽しくなっていきます。
バイオリンをこれから始めたい方、より良い環境で学びたい方には、プロの先生に習うことも大きな近道です。
正しい基礎を最初に身につけることで、その後の上達スピードは大きく変わります。ぜひ、信頼できる先生のもとで、楽しいバイオリンライフをスタートさせてください。
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